パーキンソン病で障害年金はもらえる?薬が効いている人ほど注意したい申請のポイント

パーキンソン病で障害年金はもらえる?認定のポイントと申請時の注意点

「パーキンソン病と診断されたけれど、障害年金の対象になるのでしょうか?」
「薬を飲めば動ける時間もあるので、申請しても難しいのでしょうか?」
パーキンソン病の方から、このようなご相談をいただくことがあります。
結論からいうと、パーキンソン病も障害年金の対象となる病気です。
ただし、「パーキンソン病と診断されている」というだけで障害年金が受給できるわけではありません。
障害年金では病名そのものよりも、その症状によって日常生活や仕事にどの程度の支障が生じているのかが重要になります。
そしてパーキンソン病の場合、特に注意したいのが、「診察室では比較的動けているのに、実際の生活ではかなり困っている」という状態が起こりやすいことです。
ここが、パーキンソン病の障害年金申請で非常に重要なポイントになります。

パーキンソン病とはどのような病気?

パーキンソン病では、主に次のような運動症状がみられます。
・振戦(しんせん)……手や足などが震える
・筋強剛・筋固縮……筋肉がこわばり、身体を動かしにくくなる
動作緩慢・無動……動作が遅くなり、動き始めるまで時間がかかる
・姿勢保持障害……身体のバランスを保ちにくく、転倒しやすくなる
このほか、歩き始めの一歩が出にくくなる「すくみ足」や、小刻み歩行などがみられることもあります。
また、パーキンソン病は身体の動きだけに症状が現れる病気ではありません。
便秘、頻尿、発汗、起立性低血圧、疲れやすさなどの自律神経症状や、うつ状態、意欲低下、認知機能障害などの非運動症状を伴うこともあります。
難病情報センターでも、振戦、動作緩慢、筋強剛、姿勢保持障害を主な運動症状とし、便秘・頻尿・起立性低血圧・抑うつなどの非運動症状について説明しています。

「薬を飲んでいるから障害年金はもらえない」は誤解です

パーキンソン病では、レボドパなどの薬によって症状が改善することがあります。
そのため、「薬を飲めば動けるから、障害年金は無理なのでは?」と思われる方も少なくありません。
もちろん、薬によって症状が十分にコントロールされ、日常生活や仕事にほとんど支障がない場合には、障害年金の認定は難しくなります。
しかし、重要なのは薬を飲んでいるかどうかではなく、治療を受けたうえでも、どの程度の障害が残っているかです。
特にパーキンソン病では、治療期間が長くなるにつれて、
「薬を飲むとしばらく動けるが、次の服薬時間が近づくと急に身体が動かなくなる」
「午前中は動けても、午後になると極端に動作が遅くなる」
「薬が効いている時間なら歩けるが、切れると立ち上がることさえ難しい」
といった症状の変動が生じることがあります。
いわゆるウェアリングオフやON・OFF現象です。
パーキンソン病では、こうした「一日の中での症状の変動」を、障害年金の申請でもきちんと伝えることが大切です。
専門医療機関でも、ウェアリングオフがある患者について薬の効果と症状との関連を評価しています。

障害年金では「筋力」だけを見ているわけではありません

パーキンソン病の障害年金では、主に「肢体の障害」として評価されます。
ここで誤解されやすいのが、「手足の筋力がそれほど落ちていないから障害年金は難しい」という考え方です。
日本年金機構の障害認定基準では、肢体の機能障害について、単に関節の動く範囲や筋力だけでなく、巧緻性、速さ、耐久性、そして日常生活における動作の状態を総合的に判断するとされています。
つまり、「一応できる」ということだけで判断されるわけではありません。
たとえば、ボタンを留めること自体はできても、「震えやこわばりのため10分以上かかる」「何度もやり直さなければならない」「途中で手が動かなくなる」のであれば、健常者が行う「できる」とは意味が異なります。
歩行についても同じです。
「歩ける・歩けない」だけではなく、「非常にゆっくりである」「すくみ足で最初の一歩が出ない」「方向転換すると転倒しそうになる」「短い距離しか歩けない」「外出時には家族の付き添いが必要」など、実際にどのような制限が生じているかが重要なのです。

重要なのは診断書の「日常生活動作の程度」

パーキンソン病で障害年金を請求する場合、非常に重要になるのが、診断書に記載される「日常生活における動作」です。
認定基準では、たとえば、「つまむ」「握る」「タオルを絞る」「ひもを結ぶ」「食事をする」「顔を洗う」「着替える」「片足で立つ」「屋内・屋外を歩く」「立ち上がる」「階段を上り下りする」
といった動作が評価対象として挙げられています。
ここで大切なのは、診断書に書かれた評価と、ご本人の実際の生活状況に大きなズレがないことです。
医師は治療の専門家ですが、ご自宅で患者さんがどのような生活をしているかを毎日見ているわけではありません。
診察時に、「最近どうですか?」と聞かれて、「まあまあです」「薬を飲めば何とか動けています」と答えているだけでは、ご本人が日常生活で受けている制限が十分に伝わっていないこともあります。
日本年金機構自身も、適切な障害等級を決定するためには、診断書の内容ができる限り詳細かつ具体的に記載されることが重要としています。

パーキンソン病は「診察した瞬間」だけでは分からないことがあります

パーキンソン病の障害年金で難しいところが、ここです。
病院を受診するために薬を飲み、ちょうど薬が効いている時間帯に診察を受ければ、「今日は比較的よく歩けている」「手もある程度動いている」ということがあります。
しかし、実際にはその数時間後、薬の効果が切れて、「椅子から立ち上がれない」「トイレまで歩くのに非常に時間がかかる」「着替えが一人ではできない」という状態になっているかもしれません。
障害年金は、病院の診察室で数分間見えた状態だけではなく、日常生活全体にどの程度の支障があるのかを審査する制度です。
そのため、
・薬が効いているときはどの程度動けるのか。
・薬が切れたときはどの程度動けなくなるのか。
・一日のうち、動けない時間がどのくらいあるのか。
こうした情報を整理しておくことが非常に重要です。

働いていても障害年金の可能性はあります

「まだ仕事をしているので、障害年金は受けられませんよね?」というご質問もよくあります。
仕事をしているという理由だけで、障害年金の対象外になるわけではありません。
特に初診日に厚生年金へ加入していた方の場合、障害厚生年金には3級があります。
3級では、身体機能や神経系統の障害によって労働に著しい制限を受ける状態も認定対象となります。
そのため、
・勤務時間を短縮している
・通勤に家族の送迎が必要
・外回りができなくなった
・パソコン入力に非常に時間がかかる
・転倒のおそれから仕事内容を変更してもらっている
・頻繁に休憩を取らなければ勤務できない
などの事情があれば、仕事を続けている場合でも検討する余地があります。
大切なのは、単に「働いている」という事実だけでなく、どのような配慮を受け、どの程度制限された状態で働いているのかです。

パーキンソン病の障害年金は「症状を正しく伝えること」が大切です

パーキンソン病の障害年金では、病名だけでも、手足の筋力だけでも、「歩けるかどうか」だけでも、実際の障害状態を十分に説明できないことがあります。
薬が効いている時間帯と効いていない時間帯の差。
震えやこわばりによって動作にどれだけ時間がかかるのか。
転倒の危険がどの程度あるのか。
家族からどのような援助を受けているのか。
仕事ではどのような配慮を受けているのか。
こうした生活実態を丁寧に整理し、診断書や病歴就労状況等申立書に反映させていくことが重要です。

「自分は障害年金の対象になるのだろうか」と迷っている方へ

パーキンソン病は症状の現れ方に個人差が大きく、同じ診断名でも日常生活への影響は人によって大きく異なります。
また、症状が時間帯によって変動するため、「病院では歩けたから無理だろう」「まだ一人でできることもあるから対象外だろう」と、ご自身で判断してしまうのは少し早いかもしれません。
障害年金の対象になるかどうかを考えるときには、「病名」ではなく、「今の生活で何に困っているのか」から考えることが大切です。
当事務所では、ご相談時に現在の症状だけでなく、服薬後の状態、OFF時の状態、歩行・食事・着替え・入浴・外出などの日常生活、そして就労状況まで詳しくお伺いし、障害年金の可能性を検討しています。
「自分の状態でも申請できるのだろうか」
「主治医にどのように伝えればよいのか分からない」
「診断書を書いてもらったが、この内容で大丈夫なのか不安」
という方は、一度ご相談ください。

パーキンソン病による日々の困りごとを、障害年金の審査で伝わる形に整理すること。

それが、私たち社会保険労務士の役割です。

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