障害年金の支給停止後に再開|ASD・強迫症による就労上の困難を整理した支給停止事由消滅届の事例

この案件で難しかったのは、平成22年から受給していた障害年金が更新時に支給停止となっており、その後の状態悪化をどのように整理して「支給停止事由消滅届」で再開を求めるかという点でした。
さらに、これまで双極性障害、うつ病、パーソナリティ障害、アルコール依存、ASD、ADHD、強迫性障害など複数の傷病名が付いていたため、現在の生活・就労上の困難の中心がどこにあるのかを整理することも重要な案件でした。

フルタイム就労中の更新で障害年金が支給停止に

このお客様は、平成22年から障害年金を受給されていました。
しかし、5回目の更新時には一般就労フルタイムで勤務していたこともあり、障害年金が支給停止となりました。
その後も勤務を続けていましたが、勤務先の吸収合併をきっかけに職場環境が大きく変化します。
人とのコミュニケーションが強く求められるようになったほか、仕事の進め方を十分に説明されないまま業務を任され、後から修正を求められることなどが重なりました。
徐々に精神的な負担が強まり、確認行為を繰り返すなど症状も悪化し、最終的には退職勧奨を受けることとなりました。
そこで、障害年金の支給を再開するため、当事務所へご相談いただきました。

実務上のポイント① 支給停止後は「現在どこまで状態が悪化したか」を整理する

支給停止事由消滅届では、過去に障害年金を受給していたという事実だけで再開されるわけではありません。
支給停止となった時点と比べて、現在の障害状態がどのように変化し、日常生活や就労にどの程度の制限が生じているのかを改めて確認する必要があります。
今回は、退職という結果だけではなく、

  • 職場でどのような場面に適応できなかったのか
  • 人とのコミュニケーションで何が難しかったのか
  • 指示の受け取り方や仕事の進め方にどのような困難があったのか
  • 確認行為がどの程度増えていたのか
  • 退職後の日常生活にもどのような支障があるのか

まで具体的に整理しました。

実務上のポイント② 傷病名が多い場合は「現在の障害像」を整理する

この方には、これまでさまざまな精神疾患・発達障害の診断名が付いていました。
そのため、過去の診断名をすべて並べるだけでは、現在の障害状態が分かりにくくなってしまいます。
退職に至った経緯を詳しく伺うと、対人コミュニケーション、環境変化への適応、曖昧な指示への対応など、発達障害の特性と考えられる困難が強く現れていました。
そこで、現在の主たる障害をどのように診断書へ記載することが適切か、主治医の先生にも確認しました。
その結果、ASDを中心とした診断書を作成していただけることが確認できたため、その障害像を軸として申請を進めました。

実務上のポイント③ 「退職した」だけではなく、なぜ就労継続できなかったかを書く

精神・発達障害の障害年金では、「働いている」「辞めた」という結果だけでは、障害の程度を十分に説明できません。
今回も、単に「退職勧奨を受けた」と記載するのではなく、なぜ職場への適応が難しくなり、どのような特性や症状によって就労継続が困難になったのかを具体的に整理しました。
就労歴がある場合ほど、勤務時間や雇用形態だけでなく、職場で受けていた配慮、実際の業務遂行状況、対人関係、欠勤・遅刻、退職に至った理由などを丁寧に確認することが重要です。

支給停止事由消滅届により障害厚生年金2級が再開

申請の結果、障害厚生年金2級の支給が再開されました。
支給停止事由消滅届では、最初の障害年金請求とは異なり、「なぜ一度停止されたのか」と「その後どのように状態が変化したのか」を比較して整理することが重要です。
また、精神疾患や発達障害では、長い治療経過の中で傷病名が変わったり、複数の診断名が付いたりすることもあります。
そのような場合には、診断名の数にとらわれず、現在の日常生活や就労を最も制限している症状・特性は何なのかを、主治医の診断と整合させながら整理することが申請上の大切なポイントになります。
支給停止後の無収入期間も長く、ご本人には大変ご心配をおかけしましたが、最後まで協力的に手続きを進めてくださいました。
この度は当事務所へご依頼いただき、ありがとうございました。

 

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