両感音難聴の障害年金申請|34年前の初診日を障害者手帳用診断書と母子手帳で証明した事例
この案件で難しかったのは、現在の聴力ではなく、4歳頃にある34年前の初診日をどのように証明するかという点でした。
聴力検査では左91.3dB、右98.8dBで、障害基礎年金2級に該当する可能性は十分にありました。
しかし、障害年金では現在の障害状態だけでなく、初診日を客観的な資料で確認できるかが非常に重要です。
聴力の等級より「初診日の証明」が問題に
聴覚障害の障害年金は、聴力検査の数値が重要な判断材料になります。
そのため、現在の検査結果を確認すれば、ある程度どの等級に該当する可能性があるか判断しやすい傷病です。
一方で、幼少期から難聴がある方の場合、初診日が何十年も前に遡ることがあります。
今回のお客様も初診日は4歳頃。受診当時は福岡県にお住まいで、すでに34年が経過していました。
実務上のポイント① 34年前のカルテがなくても他の資料を探す
これだけ昔の受診歴になると、当時の医療機関にカルテが残っていないことも珍しくありません。
そこで今回は、病院の記録だけにこだわらず、当時、聴覚障害に関連して作成された行政・福祉関係の資料が残っていないかを確認しました。
ご出身の県の障害者手帳に関する窓口へ問い合わせたところ、初めて障害者手帳を作成した際の障害者手帳用診断書が現在も保存されていることが分かりました。
その診断書を取り寄せ、幼少期から難聴があったことを確認する重要な資料として提出しました。
実務上のポイント② 母子手帳のメモも初診日を補強する資料に
さらに、ご本人のお母様が、当時の受診について母子手帳へ記録を残していました。
そこで、母子手帳の該当箇所のコピーも添付しました。
障害年金の初診日証明では、必ずしも現在の医療機関のカルテだけが資料になるわけではありません。
今回のように、
- 過去の障害者手帳用診断書
- 母子手帳
- 学校や福祉関係の記録
- 過去の検査結果
- 当時作成された公的資料
などを組み合わせることで、古い初診日を補強できる場合があります。
実務上のポイント③ 「現在2級相当」でも初診日が証明できなければ進まない
今回の聴力検査結果は、
- 左耳 91.3dB
- 右耳 98.8dB
でした。
現在の障害状態については2級相当と考えられる一方で、障害年金の申請では、「今どれだけ聞こえないか」と「いつからこの傷病で医療機関を受診していたか」は別々に整理する必要があります。
今回の案件では、現在の聴力よりも、34年前の初診日をどのような資料で裏付けるかが申請の中心的な論点でした。
両感音難聴で障害基礎年金2級に認定
障害者手帳用診断書と母子手帳の記録などを提出し、初診日を整理した結果、障害基礎年金2級に認定されました。
聴覚障害の障害年金では、聴力検査の数値だけを見ると等級判断は比較的分かりやすい一方、幼少期発症の場合には、何十年も前の初診日証明が大きな問題となることがあります。
そのような場合でも、「カルテがないから証明できない」とすぐに諦めるのではなく、障害者手帳、母子手帳、学校関係資料、福祉関係資料など、当時の状況を確認できる記録が残っていないかを探すことが重要です。
今回、ご本人が通院されていたのは耳鼻科で著名な御茶ノ水の病院でしたが、そちらのソーシャルワーカーの方々から、当事務所が作成した病歴・就労状況等申立書について高く評価していただき、その後も何度かご縁をいただくことができました。
この度は当事務所へご依頼いただき、ありがとうございました。

