慢性腎不全・人工透析の障害年金申請|約20年前のカルテから糖尿病の初診日を特定した事例

この案件で最も重要だったのは、人工透析を開始した時期ではなく、現在の慢性腎不全につながる糖尿病の初診日をどこまで遡るかという点でした。
ご本人が初診日だと考えていた時期より前に、約20年前の入院カルテに糖代謝異常の記録が残っており、その確認が申請の大きなポイントとなりました。

この方は、もともとご自身で障害年金を請求しようと準備を進め、すでに診断書の取得まで終えていらっしゃいました。
ところが、完成した診断書を年金事務所へ持参したところ、「初診日として考えられる日がいくつもある」と言われます。
さらに、「健康診断で最初に尿蛋白を指摘されたのはいつですか」「尿蛋白を指摘された30歳頃から遡って病歴就労状況等申立書を書いてください」など、次々と確認事項が増えてしまいました。「いったい、いつが初診日なのか分からない……」ご本人だけでは整理が難しくなり、当事務所へご相談に来られました。

ご本人が考えていた初診日と、実際の経過が違っていました

ご本人は、「医師から『糖尿病です』と言われて、糖尿病の薬を飲み始めた日が初診日だ」と考えていらっしゃいました。
確かに、ご本人の記憶だけで考えれば、とても自然です。
しかし、人工透析による障害年金では、現在の慢性腎不全や透析だけを見るのではなく、その原因となった腎疾患や糖尿病について、最初に医療機関を受診した時点まで遡って確認しなければならないことがあります。
そこで当事務所から、以前入院していた病院のカルテ開示をご提案しました。
すると、カルテには重要な記載が残っていました。
約20年前、心筋梗塞で救急搬送され入院した際の血液検査ですでに糖代謝異常が確認され、入院中から食事指導を受けていたことが分かったのです。
ご本人が「糖尿病の治療を始めた」と認識していた時期よりも、ずっと前の出来事でした。
ご本人に当時の記憶がなかったとしても、カルテという客観的な記録を辿ることで、初診日の手掛かりが見つかることがあります。
カルテをご本人にも確認していただき、最終的には、心筋梗塞で入院した時期まで遡って初診日を整理することになりました。

約20年前のカルテから、現在の人工透析までを一本につなぐ

経過を整理すると、平成19年に心筋梗塞で救急搬送され、その後も循環器内科へ通院。
平成21年にはHbA1cが6.6となり、糖尿病治療薬の服用が開始されました。
その後、平成28年頃から徐々に腎機能が低下。
令和元年には同じ病院の腎臓内科で糖尿病性腎症と診断されました。
長い間、自覚症状や仕事への大きな支障はありませんでしたが、腎機能は徐々に悪化。令和7年にはクレアチニン値が8台となり、血液透析を開始することになりました。
このように、心筋梗塞での入院→糖代謝異常・糖尿病→糖尿病性腎症→慢性腎不全→血液透析という長期間の医療経過を、カルテや診療記録を確認しながら整理していきました。
その結果、障害厚生年金2級が認定されました。

人工透析の障害年金では「初診日探し」が非常に重要です

人工透析を受けている方から、「透析を始めた日が初診日ですよね?」「腎臓内科へ初めて行った日ではないのですか?」「糖尿病と言われた日が分かりません」といったご相談をいただくことがあります。
しかし、障害年金の初診日は、必ずしも透析開始日や腎臓内科の初診日とは限りません。
糖尿病性腎症の場合には、糖尿病について最初に医療機関を受診した時点まで、何年、場合によっては何十年も遡って確認する必要があるケースがあります。
そして、ご本人の記憶だけでは分からなくても、
・過去のカルテ
・健康診断結果
・紹介状
・入院記録
・血液検査結果
・過去の医療機関の診療記録
などを一つずつ確認していくことで、初診日の手掛かりが見つかることがあります。
今回も、約20年前の入院カルテを確認したことが、初診日を整理する大きなきっかけとなりました。
「人工透析を始めたけれど、初診日が分からない」
「昔の糖尿病の受診歴を覚えていない」
「年金事務所で過去の受診歴を調べるよう言われ、どうしたらよいか分からない」
そのような場合でも、まずはこれまでの医療経過を一緒に整理していくことで、手掛かりが見つかることがあります。
今回のお客様も、最初は「そこまで昔のことを調べるのですか」と驚いていらっしゃいましたが、実際にカルテを取り寄せてみると、ご自身でも昔の記録を興味深く読んでいらっしゃいました。
長い病歴を一緒に振り返りながら申請を進め、無事に障害厚生年金2級の決定につながった事例です。

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