Ⅰ型糖尿病の障害年金申請|10年前の初診病院が不明でも紹介状から初診日を特定した事例

この案件で難しかったのは、約10年前に最初に受診した内科クリニックを、ご本人がまったく覚えていなかったことでした。
障害年金では現在の検査数値だけでなく、初診日を確認できるかどうかが非常に重要です。
そこで今回は、2件目に受診した大病院に、最初のクリニックからの紹介状が残っていないかを確認することから始めました。

強い口渇・多飲・体重減少からⅠ型糖尿病が判明

この方は成人後にⅠ型糖尿病を発症しました。
当時は常に喉が渇き、2ℓのペットボトル飲料を1日に3~4本飲むほどの強い口渇がありました。
発汗や3~5kgほどの体重減少もあり、会議中にも頻繁にトイレへ行くようになったため、同僚から心配されるようになりました。
ご自身でインターネットを調べ、「糖尿病ではないか」と考えて医療機関を受診したことが治療の始まりでした。

実務上のポイント① 「初診日を覚えていない」で終わらせない

ご相談時、ご本人は最初に受診した内科クリニックについて、名前も場所もまったく覚えていないとのことでした。
初診日からすでに約10年が経過しており、ご本人だけで受診先を探すことが難しかったため、当事務所へご相談いただきました。
そこで医療経過を確認したところ、最初のクリニックを受診した後、大病院へ紹介されていることが分かりました。
私は、2件目の大病院に、最初のクリニックからの紹介状や診療情報提供書が保存されている可能性があると考え、そちらへ初診日に関する証明を依頼しました。
その結果、予想どおり過去の記録から最初の受診日を確認することができました。

実務上のポイント② 初診病院そのものに記録がなくても、次の病院に痕跡が残っていることがある

障害年金の初診日証明では、最初に受診した病院だけを探す必要はありません。
転院している場合には、

  • 紹介状
  • 診療情報提供書
  • 初診時の問診記録
  • 前医からの検査結果
  • 退院時サマリー

などに、以前の受診日や病院名が記載されていることがあります。
今回も、2件目の医療機関の記録を辿ることで、本人の記憶だけでは分からなかった10年前の初診日を特定することができました。

実務上のポイント③ Ⅰ型糖尿病では検査数値も確認する

初診日を確認すると同時に、現在の障害状態についても診断書や検査数値を確認しました。
この方の血清Cペプチド値は0.21でした。
Ⅰ型糖尿病の障害年金では、糖尿病という病名だけで判断されるのではなく、インスリン治療の状況や検査値、低血糖・高血糖の状態、日常生活・就労への影響などを確認しながら等級該当性を検討する必要があります。
今回は、初診日の確認ができ、現在の検査所見からも障害年金に該当する可能性があると判断して申請を進めました。

障害厚生年金3級に認定

申請の結果、障害厚生年金3級に認定されました。
Ⅰ型糖尿病の障害年金では、血糖コントロールや検査数値だけでなく、初診日をどのように証明するかが大きな問題になるケースもあります。
特に発症から長期間経過している場合には、

  • 最初の病院を覚えていない
  • 病院名は覚えていてもカルテが残っていない
  • 転院を繰り返している

といったことも少なくありません。
そのような場合でも、次の病院に残る紹介状や診療記録を辿ることで、初診日の手掛かりが見つかることがあります。
Ⅰ型糖尿病の方は、インスリン治療や血糖管理を続けながら働くこと自体が大きな負担となることもあります。
治療のために働き方を変えたり、以前と同じ勤務を続けることが難しくなったりして、お給料が減った方も少なくありません。
本当に障害年金を必要としている方へ適切な制度利用につなげられるよう、今後も一件一件の医療経過を丁寧に確認していきたいと思います。
この度は当事務所へご依頼いただき、ありがとうございました。

 

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