脳出血で障害基礎年金2級|退院後に診断書を書ける病院がなく、症状固定で遡及請求した事例
この案件で難しかったのは、障害状態そのものではなく、障害年金の診断書を書いていただける医療機関が見つからなかったことでした。
左片麻痺の程度から障害年金に該当する可能性は高い状態でしたが、リハビリテーション病院を退院後は通院リハビリも終了しており、当時の障害状態を証明する診断書をどこへ依頼するかが、遡及請求の大きなポイントとなりました。
一人で外出できず、自宅への出張相談を希望
この方は脳出血で倒れた後、しばらく障害年金という制度をご存じなかったそうです。
ある日YouTubeで障害年金に関する動画をご覧になり、「自分も対象になるのではないか」と考えられました。
しかし、すでに一人で外出することは難しい状態でした。
そこで、ご自宅近くで出張面談にも対応している社会保険労務士を探し、当事務所へご相談いただきました。
実際にご自宅でお会いすると、左上下肢に重い麻痺が残っていました。
歩行には杖が必要で、ゆっくりとしか移動できず、左手も拘縮してほとんど使用できない状態でした。
現在の障害状態については、障害年金に該当する可能性が十分にあると考えました。
実務上のポイント① 障害状態が重くても、診断書を書ける医師がいなければ申請できない
問題となったのは、診断書でした。
脳出血後に入院していたリハビリテーション病院はすでに退院しており、その後も同院へ通院しているわけではありませんでした。
そのため、現在の状況について障害年金用診断書を書いていただくことが難しい状態でした。
障害年金では、「明らかに障害が重い」というだけでは請求できず、その状態を医師の診断書によって証明する必要があります。
特に、退院後に医療機関とのつながりが薄くなっている脳卒中の方では、「どの医師に診断書を依頼するか」が問題になることがあります。
実務上のポイント② 過去の障害者手帳診断書から診断書作成の可能性を探る
医療経過を確認すると、初診日から約8か月後に、整形外科で身体障害者手帳用の診断書を作成してもらっていたことが分かりました。
そこで、その整形外科へ私から直接連絡しました。
過去に作成した障害者手帳診断書の内容を踏まえ、当時の状態について、症状固定として障害年金用の診断書を作成していただくことが可能かを確認しました。
その結果、医師から作成可能との回答をいただくことができました。
これにより、現在分だけではなく、過去の障害状態についても診断書を取得し、遡及請求を進めることができました。
実務上のポイント③ 脳出血では「1年6か月待つ」とは限らないケースがある
障害年金では、原則として初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日となります。
しかし、傷病によっては、それより前に障害状態が固定したと認められる場合があります。
今回も、初診から約8か月後に作成されていた障害者手帳診断書が重要な手掛かりとなり、その時点の状態について医師へ確認したうえで、症状固定として診断書を作成していただきました。
単に「脳出血を発症した日」「退院した日」「現在の状態」だけを見るのではなく、いつ障害状態が固定したと考えられるのか、当時それを裏付ける医療資料が残っていないかを確認することが重要です。
障害基礎年金2級が遡及して認定
申請の結果、障害基礎年金2級が遡及して認定されました。
脳出血後の障害年金では、麻痺の程度だけでなく、
- リハビリ病院を退院した後、どこへ通院しているか
- 障害年金診断書を書ける医師がいるか
- 過去に身体障害者手帳の診断書を作成していないか
- いつ頃から障害状態が固定していたのか
- 過去の状態を証明できる医療資料が残っているか
まで確認することで、申請方法が変わることがあります。
今回も、「診断書を書いてくれる病院がない」というところで諦めず、過去の障害者手帳診断書と作成医を確認したことが、遡及認定につながりました。
この度は当事務所へご依頼いただき、ありがとうございました。

