大動脈解離から脳梗塞を発症|心疾患3級・肢体1級を時期別に請求した障害年金事例

この案件で難しかったのは、大動脈解離そのものによる心疾患と、人工血管置換術後に発症した脳梗塞による肢体障害を、どの時点で・どの診断書を使って請求するか整理することでした。
奥様は年金事務所や複数の社労士へ相談されていましたが、「どの病院から、いつの診断書を取得すればよいのか」という説明がそれぞれ異なり、かえって混乱されていました。

大動脈解離の手術後に脳梗塞を発症し、寝たきりに

ご主人は大動脈解離を発症し、その日に人工血管置換術を受けました。
しかし、その手術に伴って脳梗塞を発症し、その後は寝たきりに近い状態となりました。
奥様からご相談いただいた時点では、「循環器の診断書はいつのものを取得すればよいのか」「肢体の診断書は手術直後のものも必要なのか」「受診状況等証明書はどこから取るのか」と、必要書類そのものが整理できていない状態でした。

実務上のポイント① 心疾患と肢体を「1本の請求」にまとめない

今回まず整理したのは、大動脈解離による心疾患と、脳梗塞による肢体障害を分けて考えることでした。
大動脈解離については、発症日に人工血管置換術を受けています。
一方、脳梗塞による重度の肢体障害については、その後の状態を肢体の認定基準で評価する必要があります。
そこで、
発症日から1年6か月まで:人工血管置換による心疾患3級
初診日から1年6か月以降:脳梗塞による肢体障害1級
という形で、時系列を分けて請求することにしました。
なお、初診から1年6か月間、健康保険から傷病手当金を受給されていますと、心疾患の障害年金請求は不要になることもございます。

実務上のポイント② 「どの診断書のいつ分を取得するか」を最初に設計する

今回、心疾患と肢体では必要な書類が異なります。

心疾患の請求

・人工血管置換術を行った病院の診断書
・現在の病院の診断書

肢体障害の請求

・人工血管置換術を行った病院の受診状況等証明書
・初診日から1年6か月頃に受診していた病院の診断書
・現在の病院の診断書

という形で、それぞれ必要な医療機関と証明時点を整理しました。
病歴就労状況等申立書についても、大動脈解離の心疾患用と、脳梗塞の肢体障害用の2種類を作成しました。
障害年金では、「とりあえず診断書を取得してから考える」のではなく、先に請求の構成を決め、その構成に必要な時点の診断書だけを取得することが重要です。

実務上のポイント③ 肢体の診断書は「手術直後」ではなく認定時点を見る

奥様は、他の社労士から「肢体の診断書も手術直後のものを取得するように」と案内されていたそうです。
しかし、今回の請求で肢体障害として重要なのは、脳梗塞発症直後の状態ではなく、障害認定日となる初診日から1年6か月頃の状態でした。
そのため、必要な時点を整理してから医療機関へ診断書を依頼しました。
診断書は多く取ればよいというものではありません。
何の障害について、どの時点の状態を証明するための診断書なのかを明確にすることが大切です。

実務上のポイント④ 現在の肢体障害は1級相当と判断

現在のご主人は、終日ほぼ臥床しており、日常生活には常時介助が必要な状態でした。
そのため、現在の肢体障害については、障害厚生年金1級に該当する可能性が非常に高いと判断しました。
申請では、単に「寝たきり」と記載するのではなく、移動、食事、着替え、排泄、入浴など、どの動作にどの程度の介助が必要なのかを整理しました。

発症から1年6か月までは3級、その後は1級で認定

結果として、
発症日から初診日1年6か月までは、人工血管置換による障害厚生年金3級
1年6か月以降は、脳梗塞による肢体障害で障害厚生年金1級
として認定されました。
今回のように、一つの大きな出来事をきっかけに複数の障害が生じているケースでは、現在一番重い障害だけを見て申請するのではなく、「どの時点で、どの障害が、どの等級に該当するのか」を時系列で整理することが重要です。
ご相談から約1か月半で、心疾患・肢体障害の2つの請求書類をそろえて年金事務所へ提出することができました。
奥様からも、複雑だった手続きが短期間で整理できたことを大変喜んでいただきました。
この度は当事務所へご依頼いただき、ありがとうございました。

 

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