純型肺動脈閉鎖症 不支給

この方からお問合せがあった際、私は、先天性心疾患の場合「異常検査所見が2つ以上」「病状を示す臨床所見が5つ以上」「一般状態区分がエ」でなければ厳しいとご本人様へお伝えしました。しかし、ご本人は「主治医がフォンタンで障害年金が認定されなかったことは無いと言っている」とおっしゃるのです。お話を聞くと、症状は非常に重篤でしたので、障害認定基準に該当しなくても受任してみようと考えました。

生まれた直後、先天性心疾患「純型肺動脈閉鎖症・機能的単心室」と診断され、生後4か月で、肺への血流を確保するため、三尖弁切除、心房中隔欠損の拡大術、右BTシャント変法術を受けました。19か月には左BTシャント変法術を受けましたが、翌月にシャントが閉塞し、緊急カテーテル検査、血栓溶解薬の投与およびバルーン拡張術が行われました。さらに26か月で、右房と肺動脈をつなぐAPCフォンタン型手術を受けました。以後もチアノーゼや強い疲労感が続き、運動や学校行事、進学・就労に大きな制限を受けながら、定期通院を継続しました。成人後は障害者雇用で勤務しましたが、体調悪化により退職。フォンタン関連肝障害や不整脈も出現し、妊娠では死産・流産を経験します。3度目の妊娠で、厳重な管理入院と酸素療法のもと第一子を出産しましたが、産後に心不全症状が悪化し、退院後も在宅酸素療法を継続しています。

審査中に返戻があり、直近の検査数値を求められ、EF59.4%、BNP51.9で提出しました。本例は機能的単心室に対するフォンタン循環であり、通常の二心室循環とは血行動態が根本的に異なります。左室駆出率やBNP等の一般的な心不全指標のみでは、重症度を十分に反映しません。慢性的な低酸素血症、静脈圧上昇、フォンタン関連肝障害、致死性不整脈の危険性、著しい運動耐容能低下があり、軽微な日常動作でも呼吸困難、動悸、チアノーゼ等を呈する状況です。

結果として、不支給になりました。不支給理由通知と障害認定調書を拝見すると、「異常検査所見なし」「臨床所見7つ」「一般状態区分エ」と書かれていました。本当に障害認定基準に則ってのみ判断されているのだと実感しました。審査側に病態の特殊性が伝わるように、診断書備考欄で「数値が悪くないように見える理由」と「それにもかかわらず実際の循環不全と日常生活制限が重いこと」を書いていただいたのですが、このような方はどうすれば救えるのでしょうか。簡単に認定される病気もあれば、実態とかけ離れて認定されない病気もある・・・今回はそれを痛い程考えさせられた案件でした。

 

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