大動脈弁狭窄症の障害年金申請|人工弁置換後、障害認定日まで遡及して3級認定となった事例

この案件で難しかったのは、人工弁置換術そのものではなく、「いつの時点から障害年金を受給できるか」という点でした。
ご相談時にはすでに初診日から約2年が経過しており、このまま事後重症請求として処理されれば、年金事務所へ請求した翌月分からしか支給されず、数か月分の受給機会を失う可能性がありました。そこで、障害認定日まで遡れるよう請求方法を整理しました。

人工弁置換術後、ご自身で申請するか迷われていた

この方は大動脈弁狭窄症により人工弁置換術を受けていました。
人工弁置換術を受けた場合、障害年金上は3級に該当することが明確でしたので、最初は「ご自身で手続されてもよいのではないでしょうか」とお伝えしました。
しかし、ご本人は仕事を続けながらの申請であり、必要書類の収集や年金事務所とのやり取りに時間を取られるより、専門家に任せて確実に進めたいとのことで、当事務所へご依頼いただきました。

実務上のポイント① 人工弁置換は「3級かどうか」より「いつから受給できるか」が重要

人工弁置換術を受けた方の障害年金では、等級そのものより、障害認定日をどこに置くかが重要になることがあります。
今回、人工弁置換術を受けたのは初診日から約1年10か月後でした。
ご相談時点では初診日からすでに約2年が経過していたため、単純に現在の状態で請求すれば、事後重症請求として扱われる可能性がありました。
事後重症請求では、原則として請求した翌月分からの支給となります。
そのため、ご本人が希望されていたのは、できる限り過去に遡った認定でした。

実務上のポイント② 「障害年金上の治った日」をどう整理するか

そこで今回は、障害年金制度上の「治った日」について、医療経過を整理した申立書を作成しました。
障害年金でいう「治った」とは、必ずしも病気が完全に治癒したという意味ではありません。
症状が固定し、それ以上大きな改善が見込めない状態に至った時点について、医学的経過と制度上の考え方を整理する必要があります。
今回も、人工弁置換術の時期だけを見るのではなく、初診日から障害認定日、その後の手術までの経過を整理し、障害認定日の時点に遡って認定できるよう申立てを行いました。

実務上のポイント③ 申請が遅れた場合でも、遡及可能性を確認する

人工弁置換術を受けた方の場合、「手術を受けたから障害年金を請求しよう」と考えた時には、すでに初診日からかなり時間が経っていることがあります。
その場合でも、すぐに事後重症請求だけを前提にするのではなく、
・初診日はいつか
・障害認定日はいつか
・手術日はいつか
・障害認定日当時の状態を証明できるか
・症状固定として評価できる時期があるか
を確認することで、遡及請求の可能性が残っていることがあります。
今回も、請求時期が遅れていたため、「今から出すなら今後分だけ」と決めつけず、障害認定日まで遡れる余地がないかを検討したことがポイントでした。

障害厚生年金3級が遡及して認定

申請の結果、障害厚生年金3級が障害認定日まで遡って認定されました。
人工弁置換術を受けている場合、等級判断そのものは比較的明確でも、実際の申請では「いつから受給できるのか」が重要になることがあります。
とくに、初診から時間が経ってから申請する場合には、事後重症請求だけで進めてよいのか、それとも障害認定日まで遡れる可能性があるのかを確認することが大切です。
この方は今後も通院・服薬を継続していく必要がありますので、今回の障害年金が少しでも医療費や生活の支えになればと思います。

この度は当事務所へご依頼いただき、ありがとうございました。

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