知的障害・自閉スペクトラム症の障害年金|B型作業所利用中でも生活実態を整理し1級・永久認定となった事例
この案件で重要だったのは、IQ34という数値や「B型作業所に通っている」という事実だけで障害の程度を判断しないことでした。
実際に生活状況を詳しく伺うと、双方向のコミュニケーションは難しく、危険認知にも乏しく、作業所でも常時に近い支援を受けていました。
日常生活もほぼ全般に介助が必要であり、実態としては障害基礎年金1級相当と考えられる状態でした。
IQ34だけでは分からなかった障害の重さ
ご相談時、知能検査のIQは34と伺いました。
数値だけを見ると、重度知的障害と中等度知的障害の境界付近とも考えられます。
しかし、障害年金はIQだけで等級が決まるものではありません。
ご家族から幼少期から現在までの生活状況を詳しく伺い、B型作業所での様子も確認すると、数字だけでは分からない大きな生活上の制限がありました。
使用できる言葉は限られた単語が中心で、相手の話を理解し、それに応じて自分の考えを伝えるといった双方向のコミュニケーションは困難でした。
また、感覚過敏や多動も強く、危険を予測して自分で回避することも難しい状態でした。
実務上のポイント① 知的障害の障害年金は「IQだけ」で判断しない
知的障害の障害年金では、IQは重要な資料の一つですが、それだけで等級が決まるわけではありません。
実際には、
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食事や身辺の清潔保持
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金銭管理や買物
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通院や服薬
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他人との意思伝達
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身辺の安全保持
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社会性
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家族や支援者から受けている援助
など、実際の日常生活を一人でどの程度行えるのかを確認することが重要です。
今回も、生活面について詳しく伺うと、ほぼ全般にわたってご家族の介助や見守りが必要でした。
実務上のポイント② 「B型作業所に通っている=働ける」とは考えない
この方はB型作業所を利用していました。
しかし、障害年金では「作業所へ通っている」という事実だけではなく、そこで実際にどのような支援を受けているかまで確認する必要があります。
今回の作業所では、一人で一般的な仕事を遂行しているわけではなく、職員から付きっきりに近い支援を受けながら作業を行っていました。
指示を理解して自分で判断し、周囲とコミュニケーションを取りながら仕事を進めることは難しい状態でした。
つまり、「就労している」というより、福祉的な環境の中で、多くの支援を受けながら日中活動を行っている状態でした。
この違いを申請書類上でも具体的に整理することが重要です。
実務上のポイント③ 診断書と家族からの聞き取りを一致させる
今回、主治医の先生が作成された診断書は、ご本人の障害状態や必要な援助が非常に丁寧に記載されたものでした。
その診断書と、実際にご家族・作業所の上司職員から伺った生活状況、
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コミュニケーションの困難
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感覚過敏や多動
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危険認知の乏しさ
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作業所で必要な支援
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日常生活で必要な介助
とを照らし合わせながら、病歴・就労状況等申立書を作成しました。
障害年金では、診断書だけが重く、申立書では普通に生活できているように読めるなど、書類同士にずれがあると実際の障害状態が伝わりにくくなります。
診断書に記載された評価が、日常生活のどのような具体的な場面に現れているのかを申立書で補足することが重要です。
障害基礎年金1級・永久認定に
申請の結果、障害基礎年金1級に認定され、さらに永久認定となりました。
永久認定になるかどうかは、申請者側で確実に予測できるものではありません。
そのため、最初から永久認定を目的として書類を作成したわけではなく、今回はあくまで、現在の障害状態を正確に診断書と申立書へ反映した結果として永久認定となったものです。
知的障害の障害年金では、IQの数値、作業所へ通っていること、簡単な身の回りのことが一部できることだけを切り取って障害の程度を判断することはできません。
どの場面で声掛けが必要なのか、見守りがなければ何が起こるのか、作業所ではどの程度の支援を受けているのかなど、普段ご家族が当たり前のように行っている援助まで一つずつ確認することが大切です。
とてもしっかりされたお母様で、ご本人が安心して生活していけるよう、常に先を考えながら準備されていることが印象的でした。
この度は当事務所へご依頼いただき、ありがとうございました。

